街灯付き電柱の製作(コンクリート電柱その1)

今製作しているNゲージレイアウト「駅前商店街(仮)」は、ちょっと懐かしい、でも当時としてはありきたりでごく普通の街角の風景を再現したいと思って作り始めましたので、電柱はとにかく欠かせないアイテム。そして、夜景も再現するとなると、電柱の街灯が点灯していないのは不自然…。ということで、点灯する街灯付き電柱の製作は避けて通ることはできませんでした。そして予想通り、大変手間のかかる物でした…。

というわけで、今回はその街灯付き電柱の製作の様子をご紹介したいと思います。長くなりそうです…。

ベースとして使用したのは、トミーテックのジオコレ情景小物 電柱B2コンクリート製です。塗装済みで、ただ立てるだけでも十分雰囲気が出ますが、とにかく街灯を点灯させるために今回は大幅に改造しています。

残念ながら、アマゾン、楽天とも現在(2022.1.21現在)品切れ中のようです。

でも、再生産を待たなくても同じ作り方で他の製品でも作れると思います。

まず問題になるのが、電柱の下から街灯までどうやって線を通すか。一番いいのは電柱をパイプ状にしてしまう事なので、旋盤で挑戦してみましたがどうしてもズレて横に穴が開いてしまいダメでした。もっと精度の高い旋盤なら出来るのか、腕がよければ出来るのか…。

溝を掘って線を通して埋める方法も考えましたが、8本作る事を考えると溝を掘るのも埋めるのも作業が大変だと思い、線を通す部分だけプラパイプに置き換えることにしました。

使用したのは2mm径のプラパイプ。以前東急ハンズでまとめ買いした物ですが、検索しても通販で買える製品が見当たらない…。3mmは結構あるんですが。まとめて買っておいてよかった。加工や塗装はちょっと面倒になりますが、真鍮パイプでも代用はできます。

電柱の下側、プラパイプに置き換える部分を、継ぎ目が目立たないように段差があるところで切断。プラパイプは、電柱から切断した部分より、余裕をみて少し長めに切断します。

切断にある程度精度が必要な場合には今まではタミヤの精密ノコギリを使用していましたが、今回は数も多いので旋盤にPROXXONの小径丸のこ刃を装着して使用しました。切る角度も安定するし、何より早いです。

2mm径のプラパイプだと、電柱は約1.8mmなので僅かに太い。あんまり目立たないかな、と思いましたが、実際に付けてみると思った以上に太さの違いが目立ちました。Nゲージサイズだと0.2mmの径の差も許してもらえない…。

なので、旋盤でプラパイプを削り、電柱と同じ太さにしました。これを8本やるのはなかなか面倒でした…。

ちなみに、今使っている旋盤はこちら。精度的にはどうなのかわかりませんが、とにかく安いし、今回のような作業には十分なので、とりあえず旋盤を使ってみたい、という方にはいいかもです。

プラパイプの内径は約1mmなので、電柱側の切断面にピンバイスで1mmの穴を開けて1mm径のプラ棒を差し込み、プラパイプに差し込んで繋げられるようにしました。でも、穴のセンターが僅かでもずれると電柱とプラパイプがずれる…。しょうがないので、仕上げの時に微調整することにします。

次に、プラパイプに線を通すための0.8mmの穴をピンバイスで空けます。パイプをしっかり固定して、線がスムーズに通せるように下に向かって斜めに穴を空けます。

次は塗装。Mr. カラーのガルグレーニュートラルグレーを1対1で混ぜて塗ります。電柱の色と完全には同じにできませんでしたが、あとはウェザリングでごまかすということで。

Mr. カラーは乾燥が早く、ちょっと濃いめにすると筆塗りだと塗ったそばから筆跡が出てしまったりしますが、かといってこういう細い棒状のものをエアブラシで塗装すると塗料を大量に消費してしまいます。なので、乾燥を遅らせてくれるリターダーを使ってみることにしました。塗料に10%程度添加します。乾燥は遅くなりますが確かに筆跡が出にくいかも。

この時には写真を撮り忘れていましたので、もうだいぶ完成に近づいてからの写真になりますが、ウェザリング前の色はこんな感じです。看板より下がプラパイプ部分。

さて次は、チップLEDの半田付け。今回使用したチップLEDは1608白色です。これにポリウレタン銅線0.2mmを半田付けします。0.1mmも買ってありましたが、今回は蛍光灯を支える役目も兼ねているので0.2mmにしました。

銅線は、後で極性がわかるようにプラスとマイナスで長さを変えます。今回はプラス用に9cm、マイナス用に7cmに切りました。

まず、銅線の両端のポリウレタンの被覆を溶かすと共に予備半田を付けます。

電子部品の半田付けをする時は、20wのコテで十分ですが、このように半田を銅線に予備付けするような時には100wくらいあると早いです。私はボタンで20w/130wを切り替えられる白光(HAKKO) PRESTO 急速加熱はんだこてを使っています。

さて、銅線をチップLEDに半田付けします。まずチップLEDを両面テープで固定。ちなみに、愛用している両面テープはNITTO N05000NS。粘着力はそこそこ強いのに、短時間で剥がせばキレイに剥がせます。

半田ごての先に少量の半田を乗せて、LEDの端子にチョンと乗せます。LEDは熱に弱いので、とにかく短時間で済ませないと破損します。両面テープの粘着剤が熱で溶けてLEDが剥がれないうちに半田付けを済ませればほぼ大丈夫です。

極性を間違えないように、長い銅線をプラス側、短い銅線をマイナス側に半田付け。このLEDの場合、緑のTの字の上がプラス、下がマイナスです。

銅線の、予備半田をした端っこをLEDの端子のところに合わせ、半田ゴテを当てて半田を溶かします。とにかく短時間で済ませます。なんとか簡単かつ確実に作業できないかと思って色々とやり方を工夫したり治具を作ったりしてみましたが、結局一番シンプルなこの方法に落ち着きました。ただし、とにかく小さいので、ある程度の慣れが必要ですが。

半田付けができたら点灯確認します。点灯確認用の治具は百均のお弁当箱?を利用して自作した「電飾くん2号」です。

「電飾くん2号」の回路図はこちら。

必ず電流制御用の抵抗(R1)を入れましょう。直接電源に繋いでも点灯はしますが、たぶん寿命が短くなります。RLは短絡防止用です。電源は単三電池2本を直列で使用しています。

点灯が確認できたら、瞬間接着剤で端子部分を固定し、半田付けした銅線が取れないようにします。瞬間接着剤はセメダイン3000ゼリー状、硬化剤にアルテコ スプレープライマーを使っています。

とにかく銅線は屈曲に弱いので、固定した根元を折り曲げないように注意して扱いましょう。

次に、LEDを仕込む街灯の製作。

まず、1mmプラ角棒を削って原型を作ります。長さは6mmくらい。

この原型で型をとって、UVレジンで街灯を作ります。今回は、お湯で柔らかくして簡単に型がとれる「型取くん」を使用しました。冷えるとすぐに硬化するので作業が早いし、またお湯に入れればやり直しも簡単に出来ます。

型が取れたら、透明UVレジンに白のアクリル塗料を1/3ほど混ぜて着色して楊枝の先に付けて型に入れ、チップLEDを中心にくるように固定して、LEDが埋まるくらいまでレジンを少し盛ります。ちなみにUVレジンは百均で買ったものです。川の水表現などとは違って、もし経年変化で黄変したりしても、逆に味がでていい感じになるかもですし。

台紙は牛乳パック。両面テープで貼り付けています。

UVランプで硬化させます。念の為20分、裏返して10分くらい。たぶん、もっと短くても大丈かもですが。

写真は撮り忘れてしまったのですが、型から取り出した街灯の周りのパリをナイフで取り、ヤスリで形を整えます。とにかく銅線が切れやすいので慎重に。

やはり写真を撮り忘れてますが、街灯の上側を塗装します。まず光漏れ防止のためにMr.カラーつや消しブラックを塗り、乾燥したら上からタミヤエナメルのディープグリーンを重ねました。昭和40年頃の蛍光灯街灯がどういう色だったのかがわかる資料は見つからなかったので、とりあえず電球の街灯の傘と同じにしてしまいました。

次に、プラパイプの穴から銅線を入れて下まで通します。銅線は折れ曲がると簡単に切れてしまうので、ここでもやっぱり慎重に。

通し終わったら、街灯の付け根の穴の所で銅線とプラパイプに多めに瞬間接着剤を盛って硬化剤を吹き、しっかりと固定して点灯確認。この時点で気がついて写真を撮り始めました…。

あまり細部の再現度にはこだわらなくいてもいいかとも思いましたが、電柱から線が生えてるような街灯の付き方も不自然なので、根元に溶きパテを盛って、硬化してからヤスリで四角く整え、なんとなくそれらしい形に。

取付用のバンド?くらいは表現しようと思い、マスキングテープを細く切って使うことにしました。

まず、マスキングテープの粘着力を落とさないように、両面テープの片面の剥離紙を剥がさずに貼って、剥離紙の上にマスキングテープを貼ります。

ハセガワ カッティングテンプレートAの幅0.75mmのスリットを使ってマスキングテープを細く切ります。

長さ8mmくらいに切って、固定したプラパイプにくるっと巻きつけます。できれば切れ目のところが重ならないようにしたほうがきれいでしょうが、まあ、多少重なっても気にしないという事で…。浮いてくるのが不安なので切れ目のところに少量の瞬間接着剤をニードルの先で塗って固定しました。

電柱の上下を繋げる前に、少々ディディールアップ。ピン跡を溶きパテで埋めたり、真四角の碍子の角をヤスリで削って、大雑把ですけど丸くしたり。

さて、上下をつなぎ合わせます。どうしてもセンターがずれてしまうので、芯にするプラ棒を削ってセンターを慎重に合わせてゼリー状瞬間接着剤で固定。

いつの間にか街灯取り付け用のバンドがシルバーに塗られていますね…。たぶん、上下を繋げる前に塗ったと思うのですが、よく覚えていません…。あ、塗料はMrカラーのシルバーです。

次はウェザリング。タミヤエナメルのフラットブラウンフラットブラックを1対1に混ぜ、5〜10倍程度(適当)に薄めてウォッシング。バンドなど金具類は当時鉄製だったのかどうかはわかりませんが、なんとなく雰囲気で金具周辺は薄めたタミヤエナメルフラットブラウンで錆表現。

さて、街灯付き電柱単体としてはこれで完成!ですが、まだ設置、配線が残ってます。長くなってしまうので、いったん区切って、続きは「街灯付き電柱の製作(コンクリート電柱その2)」でということで。ではまた!

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